受精卵検査、まず100組 学会、臨床研究を開始

影山敏崇

2017年02月16日 18:58

受精卵検査、まず100組 学会、臨床研究を開始

臨床 2017年2月16日 (木)配信朝日新聞 より

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 体外受精させた受精卵のすべての染色体を調べ、異常がないものを子宮に戻す「着床前スクリーニング」について、日本産科婦人科学会(日産婦)は14日、臨床研究を開始したと発表した。当面は計100組の夫婦で実施する。

 受精卵検査は、流産の原因となる特定の染色体などに限って認めていたが、2014年12月に学会は、新しい検査で臨床研究をする方針を承認した。15年度内にも始める方針を示していたものの、準備などに時間がかかり遅れていた。

 学会は、患者の登録や体外受精をする実施施設に名古屋市立大学、IVF大阪クリニック(大阪府東大阪市)、セント・ルカ産婦人科(大分市)と、公表を望んでいない1カ所の計4施設を指定したことを明らかにした。今後、わずかに増える可能性があるという。

 受精卵を調べる検査施設に指定したのは東京女子医科大学(東京都新宿区)、名古屋市立大学、藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)。

 臨床研究では、この検査によって流産する率を下げ、出産率を高めるのかどうかを調べる。

 今回の対象は、過去に流産を2回以上した夫婦50組と、体外受精を3回以上しても妊娠しなかった夫婦50組。妻は35~42歳に限定する。同じ時期に、この検査を受けないで体外受精した人と流産率などを比べる。費用は患者が負担する。

 100組での研究が終わった後、検査を受けたグループと受けないグループを無作為に分けて比較する研究の人数などを決める。すべての研究結果を踏まえ、倫理的な妥当性や医療としての実施の可能性を検討する予定という。

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