液体ミルク「流通に数年」 メーカー、高品質確保で
行政・政治 2016年11月15日 (火)配信共同通信社 より引用
内閣府は14日、男女共同参画会議の専門調査会を開き、法令が未整備のため国内流通していない「乳児用液体ミルク」に関し、関係者から意見を聞いた。業界団体の「日本乳業協会」は、消費者に受け入れられる高品質の実現には「ハードルが高い」とし、流通するとしても数年はかかるとの見通しを示した。
液体ミルクは海外で広く流通。無菌処理され、開封前なら半年~1年ほど常温保存できるとされる。粉ミルクと違ってお湯で溶かす必要がないため、子育て負担の軽減や男性の育児参加につながると調査会は着目する。清潔な水が手に入りづらい災害時にも有用だ。
「乳児用液体ミルク研究会」の代表理事で、横浜市の主婦末永恵理(すえなが・えり)さん(37)は「産後の女性は心身ともに大変な時期がある。手間を減らす液体ミルクはお母さんの支えになる」と訴えた。
一方、乳業協会の田村賢(たむら・まさる)専務理事は、メーカー側も製造試験に取り組んでいると明かした上で「時間の経過とともに褐色化したり、沈殿物が発生したりする。生活者に許容されるのかどうか」と語った。
国内流通には、厚生労働省が食品衛生法に基づく省令を見直し、液体ミルクの規格を定める必要がある。厚労省担当者は「開封すると急速に微生物が増殖し、当然ながら食中毒が懸念される」と述べ、安全性のデータを提出するよう乳業協会に求めていると説明した。
専門調査会は、年度内にまとめる報告書に液体ミルクの利便性を盛り込む方針だ。
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