経血量と内膜の厚さのパラドクス

影山敏崇

2016年07月09日 08:13

漢方では妊娠不成立の終末像である月経の様子から、子宮内膜の状態を判断します。



『経血量=内膜の厚さ』になるとは限らないと、前回説明しました。



自然周期でかつ、過多月経(筋腫や子宮内膜症など)を起こす背景がない状態では、おおむね『経血量=内膜の厚さ』と考えてよいでしょうが、不妊治療中でホルモン周期の方は、必ずしもそうならないケースがあります。



ホルモン周期では、経血量が増えるが内膜が薄くなる、経血量が減り内膜は厚くなるというように、『経血量=内膜の厚さ』に反するケースが少なからず起こります。



経血量が多いということは、からだから逸脱する血の量が多く、同時に内膜の材料となる血の損失が増えることを意味します。



食べ物から再度、材料補給することで、損失を取り戻し、新たな内膜が作られ、再び経血となって、、、と体の内外を循環します。







健康的な自然周期の女性であれば、上図のようにからだに取り込める血の材料と、内膜の厚さ、経血の量は、ホルモンバランスの上に都合よくバランスが取れると考えられます。






ところが、外来のホルモンを持ち込んでホルモンバランスに介入すると、このバランスが崩れてしまうのではないか?と筆者は考えています。



ホルモン療法は多くの恩恵を与えますが、ホルモン剤による介入が、『経血量=内膜の厚さ』とならない一因となるかもしれません。





















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