6月の養生法

影山敏崇

2018年06月01日 13:12

6月の養生

 今月が終わると一年の半分が経過したことになります。
時の流れの早さを感じますが、年初の頃に比べて季節は随分と様変わりしてきました。そこで、私たちの暮らしも、季節の変化に対応するように調えていく事が大切です。6月には6月の性格があり、それを意識しながら暮らしを変化させていく事が養生につながります。今月は6月の養生について、東洋医学の視点で考えてみましょう。






6月は入梅を迎え、ジメジメして困りますね~




6月の特徴
 6月は、夏至を迎え昼間が最も長くなる事と、入梅となり湿度が高いことが特徴に上げられます。この二つを混ぜ合わせると 『蒸し暑い』という事になるでしょうか、初夏の軽やかな空気よりも、重さを感じるようになってきます。ベタベタ、ジメジメ、なんともイヤですね。




 春のように風が吹き荒れたり、気候が目まぐるしく変わることはなく、気温差も落ち着いていきます。言葉の上では過ごしやすいように思えますが、実際はそうでもありません。いったいどうしてでしょうか?陰陽の視点を当てはめて考えていきます。




 6月は昼の長さが最も長くなる時期ですから、太陽から受けるエネルギー、つまり陽気は最大となります。ところがその頃、日本は梅雨入りし、陽気をさえぎるように厚い雲が列島をおおいます。雲、それは水蒸気であり、つまりは水ですから、陽気に対して陰気となります。


 この陽気と陰気が、私たちの頭の上で勢力争いをするのが6月の特徴になります。梅雨空ですね。年によって様子が違う事もありますが、一般に6月は陰気が勝り、曇天で湿度が高い梅雨の雰囲気となります。梅雨寒(つゆざむ)と言われる梅雨時に訪れる季節はずれの寒さは、陰気が強すぎる場合に起こります。不意を突かれたように体調を崩すこともあるので注意が必要です。





 6月は、陽気に対して陰気が勝るため、梅雨明けのようにカラッと晴れる事はあまりなく、空気は湿気を含み重たく感じられます。東洋医学的には、私たちの活動の源泉となる陽気(太陽からの熱エネルギー)が、陰気(梅雨前線)にさえぎられることと、陰気そのものがもたらす高い湿度が、私たちを重だるくさせていると考えます。


  一日二日ならどうってことはないでしょうが、6月はそのような傾向が強まりますね。この様な背景を踏まえて、6月の養生について考えてみましょう。





養生のポイント
 6月は水分代謝に気を付けます。湿度が高まるにつれて、私たちの身体も湿気、つまり 水をさばくことが難しくなるからです。




  洗濯ものが乾きにくい様に、身体も乾きにくい、言い換えれば水を貯め込みやすくなります。水が四肢に溜まればむくみ、関節に溜まれば関節痛、皮膚に溜まれば湿疹、消化管に溜まれば下痢や胃もたれ、頭に溜まれば頭痛、呼吸器に溜まれば痰や鼻汁など、東洋医学では、様々な病状が湿気と関連付けられています。





 気温の上昇とともに飲食物からの水分摂取が増える一方で、汗をかいて身体を乾かす機会に恵まれないことが、水分代謝低下、つまり、体内における陰気が陽気に勝る原因となります。身体の中も雨模様ということでしょうか。自然環境の影響を受けるのは仕方のない事だとしても、除湿、つまり水分代謝を改善することが養生につながりそうです。




 そこで、夏こそ使いやすい機能である発汗を高めたいですね。暑いからと言ってシャワーで済ませず、入浴して発汗を高めます。他に、生姜やネギなどの香り野菜の多くは発汗を促進します。晴れた日には身体を動かすことで発汗します。室内運動でもよいですが、屋外のほうが良いですね。布団を乾かすときには外に干すのと同じで、晴れた日は湿度が下がり、気持ちよく汗がかけます。




 次は、尿を増やすようにしましょう。入浴による水圧はむくみを解消し利尿効果が得られます。夏野菜は利尿作用が高いものが多く、これからの時期はその真価が発揮されます。一方で塩分の過剰はむくみを増長しますので、注意が必要です。



 住環境も湿気の作用をうけます。晴れた日には布団干しをするのですが、家もよく換気して除湿します。雨天が続き、屋内で過ごすことが多くなりますから、家や部屋を開放して呼吸させる事も大切です。良く晴れた日に洗車したら、窓をしばらく開放して車内を除湿するのも同じ発想です。




 6月は5月に比べて湿度が急に上がり、体感的に過ごしにくくなります。身体を乾かすことと、身を置く環境の除湿に出来るだけ配慮し、心身ともに軽やかに過ごしたいですね。

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