【漢方ダイエット】食べる事と眠る事の関係

影山敏崇

2019年11月06日 15:23

今月は、ダイエットの食事編について考えていきます。とは言いましても、ダイエットは食事だけで成り立つものではなく、睡眠との関連の中で成立していますので、その辺りの関係を見ていく必要がありそうです。


人の最大の欲求は睡眠です。



睡眠欲に勝てずに朝寝坊して、朝食を食べなかった経験は誰にでもある事でしょう。食欲旺盛な赤ん坊でも、睡魔に勝てずに食事中に眠りこけてしまう事があります。睡眠は、生きる事に直結した最大の欲求である証左です。






 睡眠に不満を抱えたまま過ごすと、食欲増進ホルモンが増え、食欲抑制ホルモンが減ることが知られています。したがって、寝不足や睡眠障害は食生活の乱れにつながり太りやすくなると言えます。




 睡眠に満足しない状況で朝を迎えると、欲求不満を抱えた状態で一日を過ごすことになります。外からのストレスとは別の、内なるストレスとでも言えそうです。不満のはけ口に何か償いを求めますが、現代人は、仕事や家事・育児の合間に寝る余裕はほとんど有りません。



 ところが食べるものはいくらでも手に入る世の中ですから、不満のはけ口は食べる事に向かいます。別の事で気分転換をしたり、余暇を楽しむような償いがあれば、食に頼り過ぎるアンバランスを矯正できるかもしれません。いずれにしても睡眠の満足度を少しでも上げる事が、ダイエットにおける基本になります。




その上で、食事についてはどうでしょう。




体のエネルギー源となるのは、糖質、脂質、タンパク質です。



エネルギーとして使う優先順位は、高い方から糖質>脂質>タンパク質となっています。糖があればどんどん糖を使う仕組みです。使い切れない糖は中性脂肪として蓄えられ肥満の原因になります。そこで糖質を制限すると体はどうなるでしょうか?血糖値が下がり低血糖を起こしそうなものですが、実際にはそうなりません。蓄えられた脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解します。脂肪酸はそのままエネルギーとして利用され、余ったものはケトン体と呼ばれる物質に変わり、これもエネルギーとして使われます。脳はブドウ糖のみを栄養源とすると言う話しがありますが、これは誤りで、ケトン体を利用できることが知られています。



 一方のグリセロールは、ブドウ糖にかえられ血糖維持に働きかけます。この様に人の体には、自らの脂肪を分解してエネルギーを得つつ、血糖値を維持する仕組みが在ります。人は食事からの糖質が無くても、低血糖やエネルギー不足にならないのです。
この脂肪分解の仕組みは、私たちが普段からよく使う解糖系(糖を分解してエネルギーを得る仕組み)に対して、ケトン体回路と呼ばれています。そして痩せるには、エネルギー供給を解糖系からケトン体回路にシフトすることが大切です。



食べ方について
厳密な糖質制限は細かなルールがありますが、実践的な目安を把握しておくだけで、痩せやすいケトン体回路は活性化します。



いくつかのポイントを紹介します。




糖質の主な入口は、主食です。米や、パン・麺類などの小麦製品は、そのほとんどが糖質です。これらを、例えば夜ご飯だけでも止めてみると良いでしょう。夕食後は基本的には寝るだけですので、ここで血糖値を上げるような食事をとると、解糖系が働き脂肪分解が妨げれ、余った糖は脂肪として蓄えられてしまいます。夕飯以降から翌日の朝食までは絶食状態となるので、夕食で糖質を入れて血糖値を上げてしまうのはもったいないですね。夕食の主食をなくす、無理なら半分にするでも良いでしょう。





減らした主食の分は、タンパク質や脂質、さらには食物繊維やビタミンミネラルといった副栄養素を増やす必要があります。おかずを増やせばいいのです。体を作るたんぱく質や脂質を増やすことで、全体の食事量を落とさず、痩せやすい体の仕組みに変えていくことが出来ます。決して食事量を落としてはいけません。落としたいのは体脂肪であり、必要な筋肉が落ちてしまったら、元も子もないですから。



間食についてはどうでしょうか?米や小麦製品、ポテトチップスや焼き芋などの根菜菓子、お砂糖たっぷり製品を気を付ければ、あとは量を気にせず大丈夫です。糖質が入っていない、あるいは少なければ大丈夫です。飲料も要注意、血糖値を即効的に上げ痩せにくくなります。0kcalの水やお茶で済ませます。



ま た、ダイエットにおいて、アルコールやカフェイン飲料の常習は避けたいところです。油断をすると毎日でも飲めてしまうものですが、アルコールは脳の緊張を緩め、カフェインは緊張を高めます。




これらが生活習慣の中に入り続けると依存と言う状態になり、心や身体の本来あるべき状態が見えにくくなります。睡眠や食事、ストレスや疲労のバランスが正しいのか誤りなのかが、心や体を通じた反応として感じにくくなります。ちょっとした体の変化に気づきにくくなるのです。嗜好品はほどほどにされる方がよいでしょう。



ダイエットをして体の感覚がシャープになると、日々の心や身体の変化を感じ取れるようになります。これは良い、これは悪いが身体感覚として分かるようになります。これは、ダイエット中だけでなく、その後の体調維持や体重管理にとても重要な事です。



続く。




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