2018年02月02日
陰陽で考える真冬の過ごし方
今年の冬は例年よりも寒い日が多く、体調管理に一層の気を使います。
インフルエンザが過去最多の大流行し、周りでも、風邪を含めて体調を崩す方を多くお見受けします。今月は、どうして真冬にそのような状況になるのか?どう対策したらよいのかを、東洋医学の視点で考えていきます。温かい春が待ち遠しいですね。
薬局内の蝋梅が咲きました。寒い季節になごみます。
ちょうど今頃は一年で一番寒い季節、真冬に相当しますね。陰の季節か陽の季節か?と聞かれれば、真冬は陰の季節だと答えるでしょう。
陰陽とは、 【この世のあらゆる事物をさまざまな視点で陰と陽の二つに分類する考え】のことです。私達を取り巻く自然環境は、今が一年で最も陰であると考えます。
陰と聞くと、なんだか寒々しくて虚しい感じがしますね。外に目やれば、草花や樹木は落ち、鳥や虫もあまり見かません。まるで、時間がゆっくりと流れている様な気すらしてきます。冬には冬の趣きがありますが、にぎやかな春や夏に比べれば虚しさ(不足感)が目立ちます。
これを私たちの身体に当てはめるとどうでしょうか?
肌が乾燥でかさついたり、目や口、鼻といった粘膜にも乾燥が目立ってきます。私たちの体表も、真冬という陰に覆われた地表と同じく、不足におおわれます。東洋医学では、体表面では気血が不足し、一方で身体の内側で充実していると考えます。陰が優勢になる季節は、体表(陽)よりも内部(陰)が充実しています。
体表の気血が不足していると、外から悪いものは侵入しやすくなります。インフルエンザや風邪をもたらすウイルスは、私たちの体表付近の虚に乗じて幅を利かせるようになります。今後はスギ花粉も勢いづきます。
風邪や花粉症の症状の多くは、粘膜面や皮膚の様に気血の不足する場所での症状が中心となります。つまり、陰の季節は、体表の警備が手薄になりやすいのです。冬に風邪やインフルエンザ感染が増える理由はここにあります。
手洗いうがい、マスクをする意味合い
冬の感染は、体表の気血の虚(不足)が背景にあります。手洗いやうがいは、虚した体表からウイルスや細菌を追い払う意味があります。体表が虚しても、感染原因を寄せ付けない事が、一番の感染対策です。マスクについては、感染原因との直接の暴露を減らすだけでなく、鼻や喉の粘膜面が加湿保護する役目もあります。
東洋医学的には、呼気によって散逸してしまう気を、マスクによって一時的に鼻・喉の粘膜面にとどめることで、ウイルスの侵入を拒む役割があると言えます。
冷やさない事と温める事
陰の季節、体が冷えれば冷えるほど気血は体の中に閉じこもり、ますます体表の警備が手薄になります。
今年の様に、特に寒い冬ほどその傾向は際立ちます。感染対策には、身体を常に冷やさない事が大切になります。冷えれば冷えるほど体表への気血の配分が減るのですから、まずは第一に冷やさないことが肝心です。
同時に体を温め発汗を促すことで、体の外方向へ気血を引っ張り出すことになり、体表の警備を充実させることが出来ます。発散性のある生姜や唐辛子・ネギなどを暖かい食べ物に入れて食べたり、入浴による適度な発汗で、一時的に体表の虚を補うことが出来ます。軽度で短時間であれば、運動による発汗も良いですね。
いずれも、気血を体表に巡らせるように働きかけることになりますから、積極的な感染予防になります。
季節では、真冬が陰の季節でした。陰の季節では、陽よりも陰が主役です。消耗(陽)よりも蓄え(陰)が優先です。激しい運動や過労(陽)を控え、よく食べよく寝ること(陰)が陰の時期の過ごし方です。家の外(陽)よりも中(陰)で過ごし、あれこれジタバタ(陽)せず、出来る事ならのんびりした気持ち(陰)で暮らしたいものです。
今日は、昨日の結果で明日の原因
ここまでは感染対策を切り口に、陰の充実に伴う体表の虚に気を付けようというお話でした。私たちの身体の陰陽は、季節の移り変わりと同じく、主役を交代しながら巡っていくものだと考えられています。
ところが私たちの社会生活は、陽ばかりを要求され、陰はないがしろにされてしまう傾向にあります。ですが、自然界の仕組みが、陰陽の盛衰と共にある様子を見るまでもなく、年中、陽ばかりではどこかに無理が生じてきます。
冬に陰を充実させる意味は、暖かい季節に元気に過ごすためです。活動(陽)の充実は、体力の蓄え(陰)の充実を根拠にしなくてはなりません。跳ねる前にはかがむ必要があるのです。自然界も日々の暮らしも、陰陽の主役が交互に入れ替わる流れの中にあります。流れを見極め、それに従う生活こそが養生の本質で、理想のライフスタイルと言えなくはないでしょうか。
あ~、そんなふうに暮らしてみたいものですね(笑)
インフルエンザが過去最多の大流行し、周りでも、風邪を含めて体調を崩す方を多くお見受けします。今月は、どうして真冬にそのような状況になるのか?どう対策したらよいのかを、東洋医学の視点で考えていきます。温かい春が待ち遠しいですね。
薬局内の蝋梅が咲きました。寒い季節になごみます。
ちょうど今頃は一年で一番寒い季節、真冬に相当しますね。陰の季節か陽の季節か?と聞かれれば、真冬は陰の季節だと答えるでしょう。
陰陽とは、 【この世のあらゆる事物をさまざまな視点で陰と陽の二つに分類する考え】のことです。私達を取り巻く自然環境は、今が一年で最も陰であると考えます。
陰と聞くと、なんだか寒々しくて虚しい感じがしますね。外に目やれば、草花や樹木は落ち、鳥や虫もあまり見かません。まるで、時間がゆっくりと流れている様な気すらしてきます。冬には冬の趣きがありますが、にぎやかな春や夏に比べれば虚しさ(不足感)が目立ちます。
これを私たちの身体に当てはめるとどうでしょうか?
肌が乾燥でかさついたり、目や口、鼻といった粘膜にも乾燥が目立ってきます。私たちの体表も、真冬という陰に覆われた地表と同じく、不足におおわれます。東洋医学では、体表面では気血が不足し、一方で身体の内側で充実していると考えます。陰が優勢になる季節は、体表(陽)よりも内部(陰)が充実しています。
体表の気血が不足していると、外から悪いものは侵入しやすくなります。インフルエンザや風邪をもたらすウイルスは、私たちの体表付近の虚に乗じて幅を利かせるようになります。今後はスギ花粉も勢いづきます。
風邪や花粉症の症状の多くは、粘膜面や皮膚の様に気血の不足する場所での症状が中心となります。つまり、陰の季節は、体表の警備が手薄になりやすいのです。冬に風邪やインフルエンザ感染が増える理由はここにあります。
手洗いうがい、マスクをする意味合い
冬の感染は、体表の気血の虚(不足)が背景にあります。手洗いやうがいは、虚した体表からウイルスや細菌を追い払う意味があります。体表が虚しても、感染原因を寄せ付けない事が、一番の感染対策です。マスクについては、感染原因との直接の暴露を減らすだけでなく、鼻や喉の粘膜面が加湿保護する役目もあります。
東洋医学的には、呼気によって散逸してしまう気を、マスクによって一時的に鼻・喉の粘膜面にとどめることで、ウイルスの侵入を拒む役割があると言えます。
冷やさない事と温める事
陰の季節、体が冷えれば冷えるほど気血は体の中に閉じこもり、ますます体表の警備が手薄になります。
今年の様に、特に寒い冬ほどその傾向は際立ちます。感染対策には、身体を常に冷やさない事が大切になります。冷えれば冷えるほど体表への気血の配分が減るのですから、まずは第一に冷やさないことが肝心です。
同時に体を温め発汗を促すことで、体の外方向へ気血を引っ張り出すことになり、体表の警備を充実させることが出来ます。発散性のある生姜や唐辛子・ネギなどを暖かい食べ物に入れて食べたり、入浴による適度な発汗で、一時的に体表の虚を補うことが出来ます。軽度で短時間であれば、運動による発汗も良いですね。
いずれも、気血を体表に巡らせるように働きかけることになりますから、積極的な感染予防になります。
季節では、真冬が陰の季節でした。陰の季節では、陽よりも陰が主役です。消耗(陽)よりも蓄え(陰)が優先です。激しい運動や過労(陽)を控え、よく食べよく寝ること(陰)が陰の時期の過ごし方です。家の外(陽)よりも中(陰)で過ごし、あれこれジタバタ(陽)せず、出来る事ならのんびりした気持ち(陰)で暮らしたいものです。
今日は、昨日の結果で明日の原因
ここまでは感染対策を切り口に、陰の充実に伴う体表の虚に気を付けようというお話でした。私たちの身体の陰陽は、季節の移り変わりと同じく、主役を交代しながら巡っていくものだと考えられています。
ところが私たちの社会生活は、陽ばかりを要求され、陰はないがしろにされてしまう傾向にあります。ですが、自然界の仕組みが、陰陽の盛衰と共にある様子を見るまでもなく、年中、陽ばかりではどこかに無理が生じてきます。
冬に陰を充実させる意味は、暖かい季節に元気に過ごすためです。活動(陽)の充実は、体力の蓄え(陰)の充実を根拠にしなくてはなりません。跳ねる前にはかがむ必要があるのです。自然界も日々の暮らしも、陰陽の主役が交互に入れ替わる流れの中にあります。流れを見極め、それに従う生活こそが養生の本質で、理想のライフスタイルと言えなくはないでしょうか。
あ~、そんなふうに暮らしてみたいものですね(笑)
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Posted by 影山敏崇 at 13:45│Comments(0)
│漢方コラム
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