2018年10月04日
10月の養生
10月の養生
ようやく涼しいと言える季節になってきました。年間を通じて過ごしやすいと言える期間は、年々短くなっているような気がしますが、10月は、他の時季に比べて過ごしやすいのではないでしょうか?今月は10月の養生について、東洋医学の視点で考えていきます。
皇帝ダリア
運動、食欲、行楽、芸術、読書、実り、、、○○の秋と言う表現は沢山あります。
中でも私たちにとって根本的な意味合いを持つ食欲、運動の充実は、10月を充実したものにするために欠かせません。9月の養生で取り上げた睡眠、この睡眠の充実の上に、食と運動のさらなる充実を積み増していく事が、10月の養生をするうえで意味を持ちます。それは来たる冬の寒さに備えるためです。
9月の養生についてはこちらになります
東洋医学では五臓(ごぞう)という考えがあります。季節の移り変わりと同じように、五臓にもそれぞれ盛衰があるとされ、秋は五臓における肺が盛んになる季節とされます。
東洋医学における肺は、現代の私たちがよく使う「呼吸器の肺」よりも広い意味を持っています。多くが集まる様子や、そこで盛んにやり取りが行われる様子を意味する「市」の臓である肺は、東洋医学において「表面」を意味しています。
したがって外気と触れる場所は全て表面であり肺となりますから、呼吸器としての肺以外にも、口や鼻といった表面(粘膜)、全身の皮フも肺というグループにまとめられます。ガス交換だけでなく、唾液や鼻汁といた粘液、汗などさまざまな物のやり取りが行われていますね。
さながら市場の様相です。その働きは肺という漢字の意味をよく表しています。これを「陽的な肺」としておきます。
ここで改めて肺=表面の意味を考えてみます。私たちの身体は一つの塊のようですが、一つの穴でつなっがています。口から肛門にかけては中空となっており、ちくわの様な格好ですね。すると体の内側にも表面があり、それは皮膚の表面とも一枚つながりになっています。物事に陰陽の二面性を見出す東洋医学では、内なる表面、つまり消化管粘膜を「陰的な肺」と位置付ける事ができます。ちくわの穴の中は外と接しているという事です。
飲食物の消化・吸収・排泄と言った具合に、飲食物が消化管粘膜を盛んに出入りする様子も、肺という漢字の意味をよく表していますね。
食欲や運動の秋とは、陰、陽のそれぞれの肺の働きの充実が背景にあります。
陰的な肺とは飲食物の、陽的な肺とは空気のやり取りがそれぞれ中心となり、食事(排泄)と運動の充実を意味します。これらが自然と充実してくるのが秋であり、五臓の盛衰ですから、10月は食と運動の充実こそが養生の基本になります。
陽的な肺の充実=運動(空気のやり取りが盛ん)
陰的な肺の充実=食・排泄(飲食物のやり取りが盛ん)
食と運動、どちらも活発ならば問題はありません。
ところが、長く続いた夏の暑さのせいで、今だ大なり小なりダメージを体に溜めています。この様な場合、食の充実が先です。養生においては陰が重んじられますから、陰の充実無くして陽の充実はありえません。遠出をするならガソリンを先に入れる順序と同じです。食が充実して初めて運動が充実するのが道理です。食欲があまりない、排泄がすっきりしない、夏バテして体重が戻っていないなどのケースでは、運動から入ってはいけません。猛暑や、残暑が長かった年ほど注意が必要です。
また、食や運動の充実は、睡眠を背景にしていなければなりません。睡眠は、くらしにおける最大の陰であり、食や運動は、それに対して陽的です。睡眠・食・運動の順で充実が図られることが大切です。
10月は、陰的・陽的、それぞれの肺の充実が大切で、特に陰的、つまり食事や排せつの充実を背景に、運動を充実させる事が大切です。食事は何をどう摂るか?また何の運動をするかはそれほど重要でありません。
それよりも、少しずつ食事量や排泄量が増えている、呼吸が弾み体の換気が活発になることが大切です。あえて挙げるなら、実りの秋に旬を迎える食材を良く摂り、呼吸がわずかに上がるように歩くことです。
肺には市の漢字が示すように、身体の内外における表面での物やり取りが盛んであることが大切です。秋晴れのもと、体の内外に渡る表面でのやりとりを増やす養生を心掛けたいですね。
ようやく涼しいと言える季節になってきました。年間を通じて過ごしやすいと言える期間は、年々短くなっているような気がしますが、10月は、他の時季に比べて過ごしやすいのではないでしょうか?今月は10月の養生について、東洋医学の視点で考えていきます。
皇帝ダリア
運動、食欲、行楽、芸術、読書、実り、、、○○の秋と言う表現は沢山あります。
中でも私たちにとって根本的な意味合いを持つ食欲、運動の充実は、10月を充実したものにするために欠かせません。9月の養生で取り上げた睡眠、この睡眠の充実の上に、食と運動のさらなる充実を積み増していく事が、10月の養生をするうえで意味を持ちます。それは来たる冬の寒さに備えるためです。
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東洋医学では五臓(ごぞう)という考えがあります。季節の移り変わりと同じように、五臓にもそれぞれ盛衰があるとされ、秋は五臓における肺が盛んになる季節とされます。
東洋医学における肺は、現代の私たちがよく使う「呼吸器の肺」よりも広い意味を持っています。多くが集まる様子や、そこで盛んにやり取りが行われる様子を意味する「市」の臓である肺は、東洋医学において「表面」を意味しています。
したがって外気と触れる場所は全て表面であり肺となりますから、呼吸器としての肺以外にも、口や鼻といった表面(粘膜)、全身の皮フも肺というグループにまとめられます。ガス交換だけでなく、唾液や鼻汁といた粘液、汗などさまざまな物のやり取りが行われていますね。
さながら市場の様相です。その働きは肺という漢字の意味をよく表しています。これを「陽的な肺」としておきます。
ここで改めて肺=表面の意味を考えてみます。私たちの身体は一つの塊のようですが、一つの穴でつなっがています。口から肛門にかけては中空となっており、ちくわの様な格好ですね。すると体の内側にも表面があり、それは皮膚の表面とも一枚つながりになっています。物事に陰陽の二面性を見出す東洋医学では、内なる表面、つまり消化管粘膜を「陰的な肺」と位置付ける事ができます。ちくわの穴の中は外と接しているという事です。
飲食物の消化・吸収・排泄と言った具合に、飲食物が消化管粘膜を盛んに出入りする様子も、肺という漢字の意味をよく表していますね。
食欲や運動の秋とは、陰、陽のそれぞれの肺の働きの充実が背景にあります。
陰的な肺とは飲食物の、陽的な肺とは空気のやり取りがそれぞれ中心となり、食事(排泄)と運動の充実を意味します。これらが自然と充実してくるのが秋であり、五臓の盛衰ですから、10月は食と運動の充実こそが養生の基本になります。
陽的な肺の充実=運動(空気のやり取りが盛ん)
陰的な肺の充実=食・排泄(飲食物のやり取りが盛ん)
食と運動、どちらも活発ならば問題はありません。
ところが、長く続いた夏の暑さのせいで、今だ大なり小なりダメージを体に溜めています。この様な場合、食の充実が先です。養生においては陰が重んじられますから、陰の充実無くして陽の充実はありえません。遠出をするならガソリンを先に入れる順序と同じです。食が充実して初めて運動が充実するのが道理です。食欲があまりない、排泄がすっきりしない、夏バテして体重が戻っていないなどのケースでは、運動から入ってはいけません。猛暑や、残暑が長かった年ほど注意が必要です。
また、食や運動の充実は、睡眠を背景にしていなければなりません。睡眠は、くらしにおける最大の陰であり、食や運動は、それに対して陽的です。睡眠・食・運動の順で充実が図られることが大切です。
10月は、陰的・陽的、それぞれの肺の充実が大切で、特に陰的、つまり食事や排せつの充実を背景に、運動を充実させる事が大切です。食事は何をどう摂るか?また何の運動をするかはそれほど重要でありません。
それよりも、少しずつ食事量や排泄量が増えている、呼吸が弾み体の換気が活発になることが大切です。あえて挙げるなら、実りの秋に旬を迎える食材を良く摂り、呼吸がわずかに上がるように歩くことです。
肺には市の漢字が示すように、身体の内外における表面での物やり取りが盛んであることが大切です。秋晴れのもと、体の内外に渡る表面でのやりとりを増やす養生を心掛けたいですね。
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Posted by 影山敏崇 at 11:09│Comments(0)
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